2023年度 東京藝術大学キュレーション教育研究センター 年報発行のお知らせ
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
この度、東京藝術大学キュレーション教育研究センター(CCS)は、2023年度年報を発行いたしました。
本冊子では、2023年度に新規開設した全学向けの6授業のほか、当センターの主催キックオフシンポジウム「いま、キュレーションを問い直す」、さらに、みずほフィナンシャルグループ、アーツカウンシルさいたまをパートナーに迎え実施した2事業をご紹介いたします。
藝大生対象の正規授業をどなたでも受講可能な特別科目「社会共創科目(公開授業)」をはじめ、当センターが本格始動してから、みなさまの多大なるご支援とご協力を賜り、初年度を無事に終了できました。改めまして御礼申し上げます。
なお、キュレーション教育研究センターでは、今秋も多様な授業や事業を予定しています。最新情報は公式ホームページにて公開いたしますので、引き続きご注目ください。今後とも変わらぬお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます。
2023年度年報はこちらからご覧いただけます:https://ccs.geidai.ac.jp/archives/
【11/30(土)開催】シンポジウム「アートとジェンダー:ケアの視点から」のご案内

東京藝術大学キュレーション教育研究センター(以下、CCS)とみずほフィナンシャルグループ(以下、みずほFG)は、2023年度より「アートとジェンダー」をテーマに共同研究を実施してまいりました。(*1)
この一環として、11月30日(土)にシンポジウム「アートとジェンダー:ケアの視点から」を開催する運びとなりましたので、ご案内申し上げます。
第1部のトーク&ディスカッションでは伊藤亜紗氏(美学者)をお迎えし、海外でリサーチされているアートとケアにまつわるユニークな事例についてお話しいただきます。そして、「アートとジェンダー」研究会のコアメンバーとして活動してきた清水知子(本学大学院国際芸術創造研究科教授)を交えて、「ケアと芸術—音・身体・フィクション」をテーマに意見を交わします。
また、第2部では、学内公募によって集った「アートとジェンダー」研究会のリサーチャー4名が登壇します。「ジェンダー」を取り巻く各自の問題意識から生まれた企画や調査研究の進捗について報告会を実施します。
(*1)2023年度の東京藝大 x みずほFG「アートとジェンダー」共同研究プロジェクト「アートとジェンダー研究会」レクチャーシリーズ&リサーチプログラムのレポートはこちらからご覧いただけます
https://ccs.geidai.ac.jp/event/mizuho-art-and-gender23/
■開催概要
東京藝大 x みずほFG「アートとジェンダー」共同研究プロジェクト「アートとジェンダー研究会」
シンポジウム「アートとジェンダー:ケアの視点から」
日時:2024年11月30日(土)14:00〜16:00 (13:30開場)
会場:東京藝術大学 上野キャンパス 音楽学部 5-109
料金:無料
定員:200名(先着順、事前予約制)
※学内、学外問わずどなたでもご参加いただけます
予約フォーム:https://forms.gle/SExEBHF9oru9TciE6
主催:東京藝術大学キュレーション教育研究センター
■当日スケジュール(予定)
□イントロダクション:14:00〜14:10
□第1部|14:10〜15:10
トーク&ディスカッション「ケアと芸術—音・身体・フィクション」
ゲスト:伊藤亜紗(美学者)
聞き手:清水知子(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授)
モデレーター:難波祐子(東京藝術大学キュレーション教育研究センター特任准教授)
□第2部|15:20~16:00
リサーチ企画報告会
登壇者:伊志嶺絵里子、大石みちこ、Cho Hyesu、寺田健人
■第1部|登壇者プロフィール
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□ゲスト:伊藤亜紗(美学者)
東京科学大学未来社会創成研究院/リベラルアーツ研究教育院教授。MIT客員研究員(2019)。もともと生物学者を目指していたが、大学3年次より文転。2010年に東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻美学芸術学専門分野博士課程を単位取得のうえ退学。同年、博士号を取得(文学)。主な著作に『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社)、『どもる体』(医学書院)、『記憶する体』(春秋社)、『手の倫理』(講談社)。第13回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞、第42回サントリー学芸賞、第19回日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞受賞。

□聞き手:清水知子(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授)
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授。専門は文化理論、メディア文化論。英国バーミンガム大学大学院MA(社会学・カルチュラル・スタディーズ)修了、筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科修了。博士(文学)。著書に『文化と暴力―揺曳するユニオンジャック』(月曜社)、『ディズニーと動物―王国の魔法をとく』(筑摩選書)、共訳書にジュディス・バトラー『アセンブリー行為遂行性・複数性・政治』(青土社)、『非暴力の力』(青土社)、アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート『叛逆』(NHK出版)、デイヴィッド・ライアン『9・11以後の監視』(明石書店)他。

□モデレーター:難波祐子(東京藝術大学キュレーション教育研究センター特任准教授)
東京都現代美術館学芸員、国際交流基金文化事業部企画役(美術担当)を経て、国内外で現代美術の展覧会企画に関わる。 企画した主な展覧会に「こどものにわ」(東京都現代美術館、2010年)、「呼吸する環礁(アトール)―モルディブ-日本現代美術展」(モルディブ国立美術館、マレ、2012年)、「大巻伸嗣 – 地平線のゆくえ」(弘前れんが倉庫美術館、青森、2023年)など。また坂本龍一の大規模インスタレーション作品を包括的に紹介する展覧会(2021年:M WOODS/北京、23年:M WOODS/成都、24年:東京都現代美術館)のキュレーターを務める。札幌国際芸術祭2014プロジェクト・マネージャー(学芸担当)、ヨコハマ・パラトリエンナーレ2014キュレーター。著書に『現代美術キュレーターという仕事』、『現代美術キュレーター・ハンドブック』『現代美術キュレーター10のギモン』(すべて青弓社)など。
■第2部|リサーチャープロフィール

□伊志嶺絵里子(東京藝術大学、慶應義塾大学、静岡文化芸術大学他 非常勤講師)
リサーチ/企画タイトル
オーケストラの楽員及び事務局職員のワーク・ライフ・バランスとジェンダー・ギャップに関する研究
リサーチ/企画概要
本研究の目的は、クラシック音楽業界におけるワーク・ライフ・バランスとジェンダー・ギャップの実態を把握することである。日本オーケストラ連盟の協力のもと、27のプロオーケストラを対象にアンケート及びインタビュー調査を実施した。
共同研究者:佐野直哉(東京藝術大学特任講師)、赤木舞(武蔵野音楽大学准教授)
研究協力者:箕口一美(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授)

□大石みちこ(東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻教授)
リサーチ/企画タイトル
VOICE -Art &Gender- 対談「イラン映画に響く声」
リサーチ/企画概要
イランと日本の映画に長年たずさわってきたショーレ・ゴルパリアンにジェンダーについて聞く。イランと映画の歴史をベースに、映画を作る人々、俳優、映画の中の登場人物、観客の変遷についてひもとく。
2024年5月に開催したイベントのレポートはこちらからご覧いただけます:https://ccs.geidai.ac.jp/2024/08/29/voice_report/

□Cho Hyesu(インディペンデント・キュレーター、東京藝術大学大学院国際芸術研究科博士課程在籍)
リサーチ/企画タイトル
The Ghost Project「現代百物語」+「百鬼夜行」
リサーチ/企画概要
The Ghost Projectは、日本の伝統的な怪談会「百物語」をモチーフに「現代百物語」を制作。脆弱性、多様性、ジェンダー、ケアなどのテーマを中心に、世界各地のクリエイター99人から現代社会を反映させる物語を集め、社会の中心から追い出された他者を描く。

□寺田健人(東京藝術大学美術学部先端芸術表現科助教)
リサーチ/企画タイトル
「展覧会、演奏会をより安全な場所にしていくための実践」
リサーチ/企画概要
芸術大学におけるギャラリーストーカー問題をテーマに、トークイベントとアンケート調査を通じて迷惑行為の影響と大学が求められる対策を整理し、被害状況の把握と改善策をリサーチした。
【10/19〜26開催】東京藝術大学キュレーション教育研究センター「展覧会設計演習」企画展 丸の内Drippin’ Tripper (ドリッピン・トリッパー)のご案内

東京藝術大学キュレーション教育研究センター「展覧会設計演習」企画展
丸の内Drippin’ Tripper (ドリッピン・トリッパー)
・出展作家
久保ガエタン 武田萌花
・会期
2024年10月19日(土)- 26日(土)13:00 – 19:00(会期中無休)入場無料
・開催場所
YAU CENTER、Slit Park YURAKUCHO、大丸有エリア各所
・主催
東京藝術大学キュレーション教育研究センター、有楽町藝大キャンパス(東京藝術大学、東京都、YAU)
・特別協力
Slit Park YURAKUCHO、東邦レオ株式会社
・協力
株式会社中川ケミカル、画翠 GASUI
・お問い合わせ
geidai.scp@gmail.com

久保ガエタン《御曲輪内抽出之景》(2024)

武田萌花《Reise praxis》(2024)
「丸の内Drippin’ Tripper(ドリッピン・トリッパー)」は、アーティストの久保ガエタンと武田萌花による「抽出」と「移動」をテーマに大丸有エリアの隠れた歴史と見逃しがちな風景を掘り起こすような展覧会です。
大丸有(大手町・丸の内・有楽町)は、かつて諸藩の大名屋敷が立ち並ぶ地域でした。明治期には赤レンガや石造りの建物が誕生し、現在では国内外の企業が集まるビジネス拠点となっています。本展では、このエリアの昔の記憶や現在の姿を手がかりに、2人のアーティストが現実とフィクションを織り交ぜながら、新作を制作し、時と場所を超えた白昼夢のような世界を創り出します。仕事の合間や休日にふらりと気軽に立ち寄って、この街を抽出する不思議な旅に出かけてみませんか?
※本展は、東京藝術大学キュレーション教育研究センターが開講する 2024 年度社会共創科目(公開授業)「展覧会設計演習」の授業の一環として開催されます。

久保ガエタン|Gaëtan Kubo
1988年生まれ、アーティスト。展覧会が開催される土地で綿密なリサーチを行い、さまざまな虚実を大胆かつ飛躍的に結びつけながら、独自の装置などを交えたインスタレーションや映像で表現することを得意とする。
2013年東京藝術大学大学院美術研究科修了。公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員としてフランスにて研修。京都市芸術文化特別奨励者。糺の森会員。
https://gaetankubo.com/

武田萌花 |Moka Takeda
1997年生まれ。アーティスト。「車窓風景」や「工事現場」など都市の日常的な風景から着想を得て、情報やイメージで氾濫した現代におけるリアリティとは何かを問うインスタレーション作品を発表する。
2024年東京藝術大学大学院美術研究科修了。主な展覧会に、2024年『ヨーゼフ・ボイス ダイアローグ展』(GYRE gallery)、2023年 『エマージェンシーズ!045』(NTTインターコミュニケーション・センター)など。2024年「藝大アートプラザ・アートアワード2024」デジタルアート部門「JR東日本賞」受賞。2021年「群馬青年ビエンナーレ2021」入選。https://www.mokatakeda.com/
・関連イベント
久保ガエタン 武田萌花
ツアー&アーティストトーク
10月19日(土)
ツアー 17:00-18:00
集合場所 Slit Park YURAKUCHO
アーティストトーク 18:00-19:00
集合場所 YAU CENTER
事前予約フォーム・詳細はこちら
①ツアー&アーティストトーク
https://x.gd/1Ieqg
②アーティストトークのみ
https://x.gd/NwOHm
久保ガエタン「ランドスコープ」
10月20日(日)14:00-16:00
開催場所 Slit Park YURAKUCHO
来場者を名倉聡美(アーティスト/占い師)がラテアートで占います。
事前申込不要
・サテライト企画
【SHOWCASE UENO】#013.
丸の内Drippin’ Tripper(ドリッピン・トリッパー)
サテライト企画:久保ガエタン 武田萌花
会期
10月18日(金)〜12月3日(火)
開催場所
ショーケース上野
東京藝術大学 上野キャンパス 美術学部 藝大食樂部内
http://geidaishokudo.com/
展覧会設計演習とは?
東京藝術大学キュレーション教育研究センターが藝大生・社会人受講生を対象に、2023 年度より開講し、2024年度からは東京藝術大学・東京都・YAUの三者連携プログラム「有楽町藝大キャンパス」の一環として展開している社会共創科目(公開授業)です。受講生は現代美術の展覧会の企画から制作、運営までのプロセスを有楽町で実践的に学びます。
https://yurakucho-geidai-campus.jp/
https://ccs.geidai.ac.jp/learn_with_us/2024-005/
YAUとは?
有楽町アートアーバニズム YAU は、アーティストの活動を日本有数のビジネス街、大手町・丸の内・有楽町にあるスタジオを拠点に街に呼び込み、ワーカーとの交流を誘発する実証プログラムとして生まれました。映像・写真といったメディアアートからパフォーミングアーツまで幅広いアーティストやその活動を支えるアートマネージャーが集っています。本演習を通して学生とワーカーが共に参加することで、社会との共創的なコミュニティを育むことにより、社会で活躍するアート人材の育成を目指します
https://arturbanism.jp/
◻︎Slit Park YURAKUCHOについて
Slit Park YURAKUCHOは、グリーンインフラのノウハウを持つ東邦レオ株式会社が、バイオフィリックデザインでコミュニティ醸成を目指す取り組みです。新国際ビルにある自転車置き場として利用されていたL字の路地を、多種多様な緑を軸にリノベーションし、休憩スポットや飲食サービスを備えた「路地の森」として近隣で働く人たちが行き交い、集う場所としてオープンしました。
https://wick-slitpark.studio.site/
・アクセスマップ
YAU CENTER|東京都千代田区丸の内三丁目1-1 国際ビル1階
Slit Park YURAKUCHO|東京都千代田区丸の内三丁目4-1
有楽町藝大キャンパス
https://yurakucho-geidai-campus.jp/
東京藝術大学キュレーション教育研究センター
https://ccs.geidai.ac.jp/
有楽町アートアーバニズム
https://arturbanism.jp/
Slit Park YURAKUCHO
https://wick-slitpark.studio.site/

【イベントレポート】ショーレ・ゴルパリアン× 大石みちこ〈V O I C E ―Art & Gender―〉対談 イラン映画に響く声― Woman’s Voices from Iranian Films ―
2024年5月14日に開催された、ショーレ・ゴルパリアン× 大石みちこ〈V O I C E ―Art & Gender―〉対談 イラン映画に響く声― Woman’s Voices from Iranian Films ―の当日の様子から、一部対談をレポートにして公開いたしました。
本イベントでは、イランの女性映画プロデューサーである、ショーレ・ゴルパリアン氏を登壇者として迎えました。ショーレ氏は1979年に来日して以来、今日に至るまでイランと日本の映画・映像に携わってきました。
大石教授が聞き手となり、イラン映画に描かれた女性や、イラン映画を作る女性たちについて、またショーレ氏が審査員を務めた2023年の愛知女性映画祭、世界の映画が語るジェンダーなどのトピックについて、対談を行いました。
また、対談の終了後には、参加者を交えてのささやかな茶話会を開催しました。2024年現在のイラン女性の暮らしやファッション等の話題を織り交ぜながら、参加者と共にイランと世界のジェンダーの未来を語り合う場となりました。
当日お越しになれなかった方も、ぜひこの機会にご一読ください。
※本企画は東京藝大 x みずほFG「アートとジェンダー」共同研究プロジェクト「アートとジェンダー研究会」リサーチャー企画シリーズの一環として実施されました。