東京藝大×〈みずほ〉 | 活動報告映像2024を制作・公開しました
キュレーション教育研究センター(以下、CCS)と株式会社みずほフィナンシャルグループ(以下、〈みずほ〉)は、2023年度より「アートとジェンダー」をテーマにさまざまな共同研究プロジェクトを実施しています。本プロジェクトは、2023年11月に東京藝術大学と〈みずほ〉が締結した包括連携協定のもとに進められています。
今回CCSは、東京藝術大学の学内外のハブとして、この包括連携協定に基づく事業を広く発信する活動報告映像2024の制作を担い、本日(2025年5月28日)その公開の運びとなりましたのでお知らせ申し上げます。本映像はCCSに留まらず、東京藝術大学と〈みずほ〉が実施した2024年度のすべての連携事業を紹介するものです。
東京藝術大学×〈みずほ〉が連携に至った経緯や学内のさまざまな部署と〈みずほ〉が取り組んでいる多彩なプロジェクト、そして、実際にプロジェクトに参加したみずほ社員や藝大生の声を知ることのできる映像となっています。
引き続き、CCSならびに東京藝術大学では、アートと金融・経済における両者の専門性を活かしつつ、細やかな意思疎通を図りながら、新たな産学連携とアート×ビジネスの取組を模索・実践してまいります。
▼「東京藝大×〈みずほ〉 | 活動報告映像2024」フルver:https://youtu.be/AcvWneGJP5Q
▼「東京藝大×〈みずほ〉 | 活動報告映像2024」ダイジェストver:https://youtu.be/A2EV9p6TMDs
【期間限定映像公開】トーク&ディスカッション「アーティストに今求められるプロデュース力とは」(ゲスト:もふくちゃん)
トーク&ディスカッション「アーティストに今求められるプロデュース力とは」(ゲスト:もふくちゃん)
東京藝術大学キュレーション教育研究センター(以下、CCS)とみずほフィナンシャルグループは、2023年度より「アートとジェンダー」共同研究プロジェクトに取り組んでおります。
この一環で、2024年度より、本学卒業生・修了生を対象に、「ジェンダー」「こども」をテーマにした企画公募事業 「東京藝大『I LOVE YOU』プロジェクト 2024」を共同で実施してまいりました。本事業を通じ、課題として浮き彫りになった「プロデュース力」をキーワードに、トーク&ディスカッション「アーティストに今求められるプロデュース力とは」を2025年2月23日(日)に開催しました。
イベント当日には急遽中止となったゲスト講演ですが、後日改めて予定していた講演を特別映像として収録しましたので、期間限定で公開いたします。
ゲスト講演「いま芸大生に求められるプロデュース力とは何か」
ゲスト:もふくちゃん(音楽プロデューサー、クリエイティブディレクター)
聞き手:熊倉純子(CCS副センター長、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授)
(視聴可能期間:~2025年9月30日)
https://youtu.be/OO11_hqoIx0
トーク終了後、会場の藝大生やみずほ社員からはさまざまな質問が飛び交い、アイドルとジェンダーの関係、行動の源をめぐって、もふくちゃんならではのスタンスや情熱が垣間見えました。以下のテキストでは、質疑応答の内容の一部をご紹介いたします。
みずほ社員:
今日のお話を大変楽しく拝聴しました。アイドルは性的に消費されてしまうイメージもあるのですが、もふくちゃんにとって、女性が女性のアイドルのプロデュースをしようと思ったカウンター的な経験はあったのでしょうか。
もふくちゃん:
自分がプロデュースをはじめた当時、アイドル業界には女性プロデューサーが一人もいませんでした。だからか「なんでアイドルは若いうちしかできないんだろう?」「アイドルの衣装ってなんで毎回こうなんだろう?」「アイドルの歌詞ってなんでこんなに媚びているんだろう?」という疑問も多くて。それに対して、やれることしかない!と思ったんですね。
たとえば、でんぱ組.incは、デビュー時から「年齢非公開」という新しい手に出ました。それまでは、「16歳の〇〇です!」といった挨拶がお決まりだったのですが、でんぱ組.incは「私たち2次元なんで年齢とかないです」「ずっと同じ歳です」みたいな(笑)。
すると、「それっていいんだ?!ずるくない?」みたいな反応もあったりして。新聞が勝手に年齢を載せるんですよ。だから、でんぱ組.incのコンセプト的に(年齢は)載せられないと熱弁しに行ったりして、常に戦っていましたね。
今は年齢非公開のアイドルがすごく増えたのですが、年齢を公表するしないのひとつをとっても男性社会のものだったなと。今は業界の雰囲気ががらっと変わったのですが、そのために女性として戦ってきたのはよかったなと思っています。
藝大生:
業界自体が変わってきたなという感覚は、いつごろ、どういう風に感じたのでしょうか。
もふくちゃん:
この数年で特に変わりましたね。この3、4年で何が起こっているかというと、女性のファンが自分の感覚では10倍以上に増えました。今までのアイドルの現場は、8割ぐらいが男性だったのが、今はまったく逆転しているんですよ。男性よりも女性のファンのほうが多いことによって、みんなのマインドが自然と変わっている。
「アイドルは時代の鏡」と言われますが、男性から見たときの女性ではなくて、「女性が見てかわいい女性がかわいいんだ」という傾向がここ数年で強くなりましたね。これは、TikTokをはじめとするSNSの影響も大きいと思います。
私がプロデューサー業をはじめたときは、業界の価値観が本当に古かったんです。女性に対する感覚のアップデートがほかの業界に比べると3、4年遅いという体感があって。ただ、この5、6年で女性のアイドルプロデューサーがすごく増えました。その結果、「アイドルだけど偶像ではない。本当に生きている人間なんだ」という意識の改革みたいなことが起こってきたんです。
そういう改革があったからか、彼氏がいることをカミングアウトするアイドルが現れたりして。「私は彼氏がいるし、好きなこともする」というように、アイドル側からも既存のアイドル像を壊すようになってきたんですね。業界も「アイドルだけどそういうことをするんだ」という歩み寄りの姿勢があって、ファンの男女比の変化に繋がったのだと思います。業界はまだまだ変わっていく波の中にいると感じています。
藝大生:
すると、最近の変化が起こるまで、もふくちゃんがアイドル業界に足を踏み入れてからの10年以上は戦い続けていたということですか?
もふくちゃん:
そうです(笑)。ありとあらゆる人たちとの戦い。今はそんなことないんですけど、当初はでんぱ組.incに恋愛の歌を歌わせたくないというこだわりがなぜか強くあったんです。恋愛よりも、戦うぜ!やってやるぜ!みたいな意気込みのほうがいいから、作詞家の人にはそういう歌詞にしてくださいとお願いしていました。でも、作詞家は良かれと思って、歌の最後に「あなたがすき」と書いちゃうんですよ。そこでも戦いですよね。「いや、いらないよ」と(笑)。
他にも、アイドルが足をださないといけないのはなんでなんだろうと思って、ズボン履いちゃおうとか、そういった一つひとつに取り組んでいました。それまで業界がやっていなかったことをする度に「なぜなんだ」と言われては、いつも理由を説明をしていました。そういう意味で、今は全然戦わなくてよくなりましたね。
みずほ社員:
それだけ戦い続けてきたモチベーションの源泉はどこにあるのでしょうか。
もふくちゃん:
自分でもなんでこんなに熱いのかわからないのですが、あらゆることにすごくむかついているんですよ。「世の中ーーー!!」みたいな(笑)。「なんでこうしないんだ!こうすればもっとよくなるのに!」という思い込みが自分の中に勝手にあって。
東京藝大ではいろんなことを勉強しましたが、一番好きだったのは歴史の勉強でした。といっても大げさなことではなくて、昔の人たちはどうしてこれを作ったんだろうと考えると、長い歴史の上にこれがあるということがあるじゃないですか。その段積みで間違った段積みを発見するとすごい腹立っちゃって。そっちに石を積むな!と(笑)。その怒りが常にどのジャンルに対してもある。ファッションでも映画でもMVでも。そのやり方は時代をさかのぼってるぞ、もっとこっちこいよ!と。(東京藝大に入った)18歳からそうだったのかなというのは、今日話しながら思い出していましたね。
熊倉:
東京藝大の入試のときから、「この世の中を変えなきゃだめだ!」と熱弁していたことをよく覚えています。もふくちゃんは音楽学部音楽環境創造科の1期生だったので、どんな科なのかがわからないわけじゃないですか。ところが、教員だってわからなかったんです。こっちもはじめて立ち上げるので(笑)。
そんな中で東京藝大の扉を叩いてきてくれたわけですが、当時から、世の中のことに批評的に文句を言う感じではなくて、とにかくすごく明るいんですよ。ポジティブなエネルギーで世の中を変えたいんだなということが伝わってきてとても印象深かったですね。
(構成編集:韓河羅)
【本日(4/14)受講生募集スタート】社会人のための東京藝大のアートスクールプログラム「社会共創科目(公開授業)」のご案内
![[fix]CCS_2025](https://ccs.geidai.ac.jp/fundamental/wp-content/uploads/2025/03/fixCCS_2025-1024x439.jpg)
東京藝術大学キュレーション教育研究センターは本日(4/14)、藝大生対象の正規授業を社会人(一般の方はどなたでも)が受講できる特別科目「社会共創科目(公開授業)」の2025年度社会人受講生募集をスタートいたしました。
今年度は5科目を開講し、うち3科目は内容を大きくリニューアルいたします。
https://ccs.geidai.ac.jp/2025/03/21/2025lineup/
ビジネスパーソンの多くから聞こえる「これからはアートが必要かも」という声に応え、社会人のためのアートスクールプログラムを東京藝大で展開しております。本学学長・日比野克彦はじめ、作曲家・野村誠やキュレーター・難波祐子ほか、アートフィールドの第一線で活躍する豪華な講師陣とともに社会人が「学び直し」、「最新学習歴」を更新する機会として、ぜひ皆様にご利用いただきたく、情報周知にお力添えいただけましたら幸いです。
科目によってはオンライン受講も可能ですので、東京近郊にお住まいでない方も、ぜひ受講をご検討ください!
なお、すでに満席近い授業もございます。お早めのお申し込みがお勧めです。
▼社会人受講生募集中!▼
▽レクチャー&ワークショップでアートの現在地を探ろう▽
「芸術環境創造論1」
定員:(対面参加)30名/(オンデマンド視聴)50名 ※いずれも先着順
受講料:有料
受講生募集期間:4/14(月)正午〜5/7(水)18:00※先着順
https://ccs.geidai.ac.jp/learn_with_us/2025-002/
担当教員( キュレーション教育研究センター 副センター長・熊倉純子)より:昨年開講の芸術環境創造論に対して、今年開講の芸術環境創造論1はアートのパラダイムシフトがテーマです。モノからコトへ変容するアートをどう捉えたらいいのでしょうか。日比野学長をはじめ、東京藝大の教職員や招聘アーティスト、海外からのスペシャルゲストを交えた豪華セッションでみなさまをお迎えします。
▽参加型音楽の現場にダイブ!▽
「演習:アートプロジェクト したまちフィールドワーク」
定員:10名(応募者多数の場合は選考します)
受講料:無料
受講生募集期間:4/14(月)正午〜5/7(水)18:00
https://ccs.geidai.ac.jp/learn_with_us/2025-003/
担当教員(吉田武司・長尾聡子)より:足立区千住で、市民とアーティストが一緒に活動し、まちに新たな縁を生み出すアートプロジェクトに触れてみませんか? 古くは宿場町として栄え、新旧入り混じる千住。このまちにキャンパスを構える藝大が、アートNPOや足立区シティプロモーション課等と運営のタッグを組み15年目を迎える市民参加型アートプロジェクトのマネジメント現場を体験できる授業です。まちづくりとアートのかかわりに関心のあるみなさまに受講いただけると嬉しいです。
▽展覧会で社会とアートをつなぐ▽
「展覧会設計演習」
定員:12名(応募者多数の場合は選考します)
受講料:有料
受講生募集期間:3/21(金)~4/21(月)23:59
https://ccs.geidai.ac.jp/learn_with_us/2025-004/
担当教員(キュレーション教育研究センター 特任准教授・難波祐子)より:社会とアートを結びつけるキュレーションについて、実際の展覧会企画制作・運営を通して藝大生と実践的に学んでみませんか?大学のキャンパスを飛び出して、藝大生と社会人受講生が互いに協力し合いながら、街なかで、小規模ながら実際に実験的な現代美術の展覧会を一緒に作ってみましょう。本講座は、これまで展覧会企画を経験したことがない方でもご参加できます。ただし基本的には展覧会の実施時を含めて全回参加できる方を歓迎します。
▼2025年度開講科目一覧▼
https://ccs.geidai.ac.jp/learn_with_us/
\レクチャー&ワークショップでアートの現在地を探ろう/
芸術環境創造論1
\参加型音楽の現場にダイブ!/
演習:アートプロジェクト したまちフィールドワーク
\キュレーションの今を知りたい/
現代美術キュレーション概論
\展覧会で社会とアートをつなぐ/
展覧会設計演習
\2025年度は理論編/
社会包摂のためのアートプロジェクト:音楽×身体表現×福祉Ⅰ(理論編)
※「展覧会設計演習」「音楽×身体表現×福祉」は「有楽町藝大キャンパス」の一環として開講いたします※
▼ぜひご一読ください▼
『art NIKKEI』
<東京藝大発>社会とつながるアートの学び── 藝大が社会人参加の授業を始めたワケ
https://art.nikkei.com/magazine/2652/
▼お問い合わせ▼
東京藝術大学キュレーション教育研究センター
https://ccs.geidai.ac.jp/contact/
※「展覧会設計演習」「音楽×身体表現×福祉」の申込・お問い合わせは「有楽町藝大キャンパス」事務局までお願いいたします。(MAIL:info@yurakucho-geidai-campus.jp/HP:https://yurakucho-geidai-campus.jp/)
2024年度CCS実施事業ARCHIVESオープンのお知らせ
いつもキュレーション教育研究センターのホームページへのご訪問、ありがとうございます。
本日(3/21)、ARCHIVESページに2024年度の実施事業を新たに掲載いたしましたのでお知らせ申し上げます。
実際に会場にお越しになれなかったみなさまにもお楽しみいただける、充実のレポートや活動総評とともに各事業をご紹介しています。
この機会にぜひともご覧ください。