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2026年度開講授業
藝大生向け・一般の方向け
上演・演奏のためのキュレーション概論1
実践から考える
開講日時
6/1(月)、6/8(月)、6/15(月)、6/22(月)、6/29(月)、7/6(月)、7/13(月) 各日18:15〜20:45
開講場所
一般の方 上野キャンパス 音楽学部 5-109
藝大生 上野キャンパス 音楽学部 5-109
「キュレーションをする」というのは、今世紀に入ってから美術のみではなく、パフォーミングアーツ(実演芸術、舞台芸術、時間芸術)や音楽(クラシック音楽、バンドライブ、DJ、即興セッション)などでも盛んに議論され始めた発展途上の考え方です。本授業では、この新しい見方や考え方を、今後の活用に向けて、共同で鍛え上げていくための、初めの一歩を踏み出します。
「実践から考える」本年度の授業では、演劇、音楽、芸術祭の公演制作やキュレーションに携わるエキスパートたちがその制作過程を紹介・分析しながら、舞台の裏側で起こっている「こと」を共有します。なお、授業は講師の都合により内容の変更が生じたり、順序が入れ替わる可能性があります。
※本授業は、2024年度に開講した「パフォーミングアーツ・キュレーション概論」の後継科目です。今後、「1」「2」「3」の3科目に構成をリニューアルして開講します。
※本授業は、2027年度、2028年度開講予定「上演・演奏のためのキュレーション概論2」「上演・演奏のためのキュレーション概論3」と併せて受講することを推奨します(必須ではありません)。詳細は2027年春の発表をお待ちください。
2026年度ラインナップ
第1回|6/1(月)
担当教員:長島確+酒井雅代
「イントロダクション」
第2回|6/8(月)
担当教員:dj sniff
ゲスト講師:rural (ルーラル)/前田敦、Nao、松尾有希子、角田亜美
「DJカルチャーと野外音楽フェスティバルのキュレーション」
第3回|6/15(月)
担当教員:相馬千秋
「国際舞台芸術祭のキュレーション:構造、歴史、実践例」
第4回|6/22(月)
担当教員:相馬千秋
ゲスト講師:新井知行(横浜国際舞台芸術ミーティング(YPAM)プログラムオフィサー)
「舞台芸術作品のキュレーション:上演の成立条件」
第5回|6/29(月)
担当教員:箕口一美+酒井雅代
「クラシック音楽専門ホールのキュレーション」
第6回|7/6(月)
担当教員:dj sniff
ゲスト講師:マイク・クーベック(鴨川スーパーナチュラルデラックス)
「実験音楽とオルタナティブスペースのキュレーション」
第7回|7/13(月)
担当教員|dj sniff
ゲスト講師:大友良英(音楽家)
「様々な音楽と人々の場としての『アンサンブルズ』のキュレーション」
受講生のみなさんへ
キーワード:#キュレーション #アーティスト #ミュージシャン #野外フェスティバル #企画立案 #マネジメント #オルタナティブ・スペース #フェスティバル #DJカルチャー #即興音楽 #クラシック音楽 #舞台芸術 #演劇 #劇場 #コンサートホール
上演・演奏のためのキュレーション 開設にあたって
キュレーターという存在、またはキュレーションという仕事が注目を集めるようになってからずいぶん時間が経ちます。美術だけではなく、芸術の他の分野、また芸術以外のさまざまな領域にまでこの言葉が応用されるようになってからも、かなり時間が経っています。キラキラしたイメージに惹かれての流行もあるのでしょうが、既存の役割分担や肩書ではカバーできない領域が活性化している証拠でもあります。キュレーター的な思考や実践を通して初めて開けてくる横断的な領域があるということだと思います。
実演系の芸術についても、近年、キュレーションという言葉が使われ始めています。きっかけのひとつには、美術館がパフォーマンスを扱い始めたことがあるでしょうし、また、美術ベースの芸術祭のプログラムが、演劇やダンス、音楽のアーティストを積極的に迎え入れるようになっていることもあるでしょう。実演芸術系の芸術祭自体も、ジャンルの拡張を伴う転換期に差しかかっているのだともいえます。
では、キュレーションの対象となるにあたって、実演系の芸術とはどのようなものなのでしょう。
実践側・運営側から見たとき、行為に拠って成り立つ実演系の作品は、その取り扱い方において、物体(「もの」)を基盤とするジャンルとは、著しい違いがあります。上演であれ、演奏であれ、あるタイミングで、ある場所で、精確に、確実に、起こさなければならない。そのためには、「もの」とは違う準備を要します。「人」と「時間」とを相手にする難しさと喜びがそこにはあります。
さらに、その取り扱いの作法が、実演系の諸分野の間でも、かなり隔たっています。演劇、ダンス、音楽それぞれの間で作法が違うし、さらにそれぞれの中のサブジャンル(古典/現代/地域 etc)でも、大きく異なっています。各ジャンルには、観客から見える以上の様態の差異があり、その部分を知らないと、取り扱うことができません。
この「実務」の部分を抜きに、外から見える部分の知識だけで取り扱おうとするのは非常に危険です。しかし言いかえれば、準備の仕方、創作の仕方、運営の仕方について、隣接したジャンル同士、互いに情報交換ができれば、さまざまな交流と創造の機会を生み出しうるということです。実演芸術におけるキュレーションの可能性はここにかかっていると私は思っています。
キュレーション教育研究センターでは、過去2年度に渡って、「パフォーミングアーツ・キュレーション概論」という授業を開講してきました。その蓄積を踏まえ、今年度から新しく始める「上演・演奏のためのキュレーション」は、上記のような問題意識とともに、まずは実践編から始め、歴史編、理論編と続く予定です。実演系芸術のキュレーションは確立した分野ではないので、講座自体も将来へ向けた試行と研究の現場そのものとなると思います。ジャンル間の「横のドア」を開けるために、実践の現場にすでに関わっている方、またはこれから関わりたいと思っている方にぜひ受講していただきたいと思っています。
長島確 (大学院国際芸術創造研究科 准教授)
先輩修了生の声
(授業内容は2026年度からリニューアルいたします)
- 毎回のメモは数千字になりました。(2024年度「パフォーミングアーツ・キュレーション概論」受講生、30代・会社員)
- 他者と協働する時、「橋をかける」キュレーション的考え方が、普段の仕事でも活かせると思いました。(2024年度「パフォーミングアーツ・キュレーション概論」受講生、20代・会社員)
担当教員(登壇順)
長島確 (大学院国際芸術創造研究科 准教授)
専門はパフォーミングアーツにおけるドラマツルギー。舞台字幕や上演台本の翻訳から劇場の仕事に関わり始め、やがて演出家や振付家の創作のパートナーであるドラマトゥルクとしてさまざまな舞台芸術の現場に参加。劇場のアイデアやノウハウを劇場外に持ち出すことに興味をもち、アートプロジェクトにも積極的に関わる。東京芸術祭FTレーベルプログラムディレクター。著書に『アトレウス家の建て方』他。訳書にベケット『いざ最悪の方へ』、『新訳ベケット戯曲全集』(監修・共訳)など。

dj sniff(キュレーション教育研究センター 特任助教)
ターンテーブリスト、音楽家、キュレーター。ターンテーブルと独自の演奏ツールを組み合わせながら実験音楽/インプロビゼーションの分野で活動。近年は玉音放送や戦時下におけるレコードおよび聴覚文化を題材にした作品を発表。また作家活動と並行して日本、ヨーロッパ、東南アジアを中心にオルタナティブな音楽の場づくりと教育活動に従事してきた。これまでにオランダSTEIM電子楽器スタジオ(Artistic Director 2007-12)、香港城市大學創意媒體學院 (Visiting Assistant Professor 2012-17)、京都精華大学(特任准教授 2020-2022)に在籍し、国際交流基金、札幌国際芸術祭、ゲーテ・インスティトゥート東京、アーツカウンシル東京、日本財団 DIVERSITY IN THE ARTSの主催事業の企画・制作・監修など。2014年からは大友良英らとともにしたアジアン・ミーティング・フェスティバル(AMF)のコ・ディレクターを務める。2022年からアメリカ・ロサンゼレスを拠点にしているが、2026年は一年限定で東京に滞在している。

相馬千秋(大学院美術研究科 准教授)
アートプロデューサー、キュレーター。2014年にNPO法人芸術公社を設立、以後代表理事を務める。演劇やパフォーマンスを軸に、現代美術、社会関与型アート、VR/ARテクノロジーを用いた作品など、領域横断的なキュレーション、プロデュースを専門としている。過去20年にわたり日本、アジア、欧州で多数のフェスティバルやプロジェクトをディレクションしてきた。その主なものとして、フェスティバル/トーキョー初代プログラム・ディレクター(2009-2013)、あいちトリエンナーレ2019および国際芸術祭あいち2022パフォーミングアーツ部門キュレーター、シアターコモンズ実行委員長兼ディレクター(2017年〜現在)、豊岡演劇祭総合プロデューサー(2021)などがある。2023年には非西洋圏出身者として初めて世界演劇祭テアター・デア・ヴェルトのプログラム・ディレクター(芸術監督)を務めた。2015年フランス共和国芸術文化勲章シュヴァリエ受章、2021年2021年文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞(芸術振興部門)受賞。2021年より東京藝術大学大学院美術研究科グローバルプラクティス専攻准教授。2027年にオープンするみなと区立みなと芸術センターm~mプログラム・ディレクターに就任。

©NÓI CREW
箕口一美(大学院国際芸術創造研究科 教授)
東京の三つのコンサートホール(カザルスホール、第一生命ホール、サントリーホール)で公演の企画制作にたずさわりつつ、(一財)地域創造『公共ホール音楽活性化事業』等に参画、地域での芸術普及のさまざまな可能性を、各地のホール担当者、若手演奏家とともに考えて来た。現在は東京芸術大学大学院国際芸術創造研究科教授として、学生や若い研究者たちと、音楽ワークショップ・ファシリテーション開発に取り組んでいる。訳書にアンジェラ・M・ビーチング著『ビヨンド・タレント 音楽家を成功に導く12章』(水曜社)がある。国際基督教大学卒。

酒井雅代(東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科助教〈4月着任予定〉)
音楽家、アーティスト・ファシリテーター、アートマネージャー。2018年に東京藝術大学公開講座「藝大ムジタンツクラブ」を始動して以来、クラシック音楽と身体表現を融合させた独自のアートプログラムを提案・実践している。現在は、子ども、地域、社会包摂をキーワードに、多領域が交差するプロジェクトの企画・運営・実践に幅広く携わる。桐朋学園大学および同研究科修了(ピアノ専攻)。東京大学大学院学際情報学府修士課程、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科博士後期課程を修了。博士(学術)。4月、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科助教着任予定。

ゲストプロフィール(登壇順)
rural(ルーラル)/ 前田敦、Nao、松尾有希子、角田亜美
2009年から続く野外音楽フェスティバル。大自然の中でアンダーグラウンドなダンスミュージックや前衛的な電子音楽を自由に楽しめるイベントとして、国内外から高く評価を受けている。2025年から福島県の沼尻高原で開催されている。

前田敦
イベント創始者・レジデントDJ。国内外のブッキングを中心に担当。イベント当日は会場のインフラ構築などを担当。rural以外でも、国内、海外公演の制作を担当し、タイのWonderfruitフェスティバルではテクノを軸としつつもアンダーグラウンドな演出と音楽性を打ち出し、キュレーターとしての手腕を発揮した。またDJとしてもアメリカ、ヨーロッパの主要クラブをはじめ、コロンビア、グルジア、タイ、台湾などの国々でもプレイを続けている。
Nao
レジデントDJ。主に演出、装飾のデザイン部分を統括。個人でもプロモーターとしてCUTHANDSやDOLPHINS INTO THE FUTURE等、ユニークな海外アーティストを招聘。DJとしてはテルアビブやバンクーバーから、タイ・パタヤのWonderfruit festivalやハノイ、台北、ソウルなどのアジア諸国まで様々な場所でプレーをしており、2024年3月に行われたrural 15周年を題したヨーロッパツアーでは、各所で彼女特有のセットを披露し、国際的に活躍している。
角田亜美
会計、会場や地域の行政や会社等、イベントの運営上必要な地域連携などを担う。またエントランスでの受付業務を統括したり、チーム内全体のタスク管理なども中心的に担う。10代より国内レイブに参加。カナダに4年間滞在し、大型フェスからDIYフェスまで国内外のレイブカルチャーに触れ、電子音楽の現場を体感してきた。2014年よりruralに参画し、2023年からはオーガナイザーとして資金管理や地域連携を担当。福島の土地や人と協働し、音楽文化が持続する環境の構築を探求している。
松尾有希子
国内外のブッキング、ロジスティック担当。イベント当日は、主にアーティストのハンドリング、シャトルバス、出店の統括など全体の実務・運営を担う。ロンドンでのクラブ体験をきっかけに電子音楽・ダンスミュージック文化への関心を深め、国内外のクラブやフェスティバルへ足を運ぶ。2016年よりruralスタッフとして参加し、2023年からはオーガナイザーとしてブッキングを中心に運営に携わる。地域や世代、立場の境界を越えて多様な表現が交差する、新たな体験の場の構築を志向している。
新井知行
1974年横浜生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同文学研究科演劇映像専修修士課程修了。坪内博士記念演劇博物館図書室での資料整理、劇団解体社スタッフ、原水爆禁止運動や非正規雇用労働者組合運動のための映像製作を経て特定非営利活動法人国際舞台芸術交流センター(PARC)理事、「サウンド・ライブ・トーキョー」ディレクター(2014〜2016)、「横浜国際舞台芸術ミーティング(YPAM)」プログラムオフィサー(2017~)。40作品以上の現代演劇、コンテンポラリーダンス、参加型パフォーマンス、映画、映像インスタレーションを翻訳。筒井潤『ソコナイ図』の英訳は日本劇作家協会から出版されている(『ENGEKI: Japanese Theatre in the New Millennium 7』、2022)。『旅館アポリア』(あいちトリエンナーレ、2019)以来ホー・ツーニェンの5作品でドラマトゥルギーを担当。

マイク・クベック / Mike Kubeck
株式会社スーパー・デラックス代表取締役。米国カリフォルニア州生まれ。読書と音楽鑑賞とアウトドアが好き。大学で映画制作と日本文学を専攻。1993年、早稲田大学国際部に留学。1998年、東京ブルーイングカンパニーに参加。麻布十番「デラックス」で即興音楽シリーズを始める。2002年、西麻布「スーパー・デラックス」を立ち上げる。2019年、ビルの老朽化により継続不可となるまでの17年間、東京を代表するカルチャースポットとして営業。2022年、鴨川「スーパーナチュラルデラックス」を立ち上げる。
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大友良英
1959生れ。映画やテレビの音楽を山のように作りつつ、ノイズや即興、フリージャズの現場がホームの音楽家。ギタリスト、ターンテーブル奏者。美術と音楽の中間領域のような展示作品や一般参加のプロジェクトやプロデュースワークも多数。障がいのある人たちとの音楽活動も2005年より続けている。また同年立ち上げたアジアンミーティングは、dj sniff やユエン・チーワイと共に今日まで続き、これを切っ掛けにしたアジア各国での交流は草の根的に続いている。
震災後は故郷の福島でプロジェクトFUKUSHIMA!を立ち上げ、この活動も継続中。パンデミック後は再び海外での活動を再開。NHKFMの名物ジャズ番組「ジャズトゥナイト」のDJも務める。


