藝大生向け・一般の方向け

芸術環境創造論1

開講日時
6/14(土),21(土), 29(日), 7/5(土), 12(土) 各日13:00-18:00

開講場所
一般の方 千住キャンパス 第7ホール OR オンデマンド
藝大生 千住キャンパス 第7ホール

ある日、「アート/文化事業」担当に異動になった。日々現場で孤独に1人で闘っている。事例調査やネットワーキングが必要なあなたには、まずこの授業がおすすめ。
モノからコトへのアートとは?日比野学長が初回授業で語る、東京藝大の「芸術未来研究場」構想をスタート地点として、今日のアートの範疇が拡大している現状や、プロジェクト型のアートの運営の実際について学びます。また、講師によるワークショップを通じて、コミュニケーションや関係性を結ぶ創作の現在地を体験します。対面受講の方はキャンパスで、オンデマンド受講の方は記録映像でお楽しみください。
アートの現場未経験者も大歓迎。本授業を通じて、アーティストやアートマネージャーの方は文化芸術の担い手たちとの協働の方法を、クリエイティブな視座を普段のお仕事や生活に活かしたい方は、そのヒントをお持ち帰りいただければ幸いです。

なお、授業は講師の都合により内容の変更が生じたり、順序が入れ替わる可能性があります。

※なお、本授業は、2026年度開講予定「芸術環境創造論2」とセットで受講することが推奨されています(必須ではありません)。詳細は2026年春の発表をお待ちください。

一般の方(対面参加) | 受講方法

定員 | 30名(先着順)
受講生募集開始|4/14(月)正午〜5/7(水)18:00
受講方法 | 全15コマの対面授業を¥50,000(税込)で受講できます。

一般の方(レクチャーコマのみのオンデマンド視聴) | 受講方法

定員 | 50名(先着順)
受講生募集期間|4/14(月)正午〜5/7(水)18:00
受講方法 | 全9コマの講義コマと、2つのワークショップの記録映像を¥50,000(税込)でオンデマンド受講できます(原則として対面授業実施日の翌週から8月末まで視聴可能、リアルタイム配信はありません)

藝大生の方 | 受講方法
授業シラバスを参照の上、Campus Planで履修登録してください。なお、卒業要件単位に含むかどうかは、ご自身の所属する各科のカリキュラムに準じます。

2025年度ラインナップ

第1回|芸術のパラダイムシフト1ー東京藝大では何が変わろうとしているのか?
対面授業:6/14(土)13:00〜18:00
オンデマンド授業(*):6/19(木)以降順次公開
①ガイダンス&「芸術未来研究場」とは(講師:日比野克彦⦅本学学長⦆、熊倉純子⦅本学大学院国際芸術創造研究科教授⦆)*
②ワークショップ(講師:日比野克彦)
③ワークショップ

第2回|芸術のパラダイムシフト2ー作品を「つくる」から作品から「生まれる」へ
対面授業:6/21(土)13:00〜18:00
オンデマンド授業(*):6/26(木)以降順次公開
①モノからコトへのデザイン(講師:松下計⦅本学美術学部デザイン科教授⦆)*
②自己投影のメディウムとしてのアート(講師:黒川廣子⦅大学美術館館長⦆)*
③ディスカッション(対面参加の受講生のみ)

第3回|芸術のパラダイムシフト3ー形なきプロジェクトとしてのアート
対面授業:6/29(日)13:00〜18:00
オンデマンド授業(*):7/3(木)以降順次公開
①アートプロジェクトとは何か(講師:熊倉純子)*
②地方とケアから考えるアートプロジェクト(講師:西尾咲子⦅本学芸術未来研究場 ケア&コミュニケーション領域/共創拠点推進機構 特任研究員⦆)*
③ディスカッション(対面参加の受講生のみ)

第4回|「つなぐ」をつくるアーティスト/「つなぐ」を仕掛けるマネジメント
対面授業:7/5(土)13:00〜18:00
オンデマンド授業(*):7/10(木)以降順次公開
①アートマネジメントの実際ー協働するアクターたち(講師:韓河羅⦅キュレーション教育研究センター特任助教⦆)*
②地域でアーティストが制作することの現在(ゲスト講師:佐藤悠⦅アーティスト⦆)*
③ワークショップ(ゲスト講師:佐藤悠)

第5回|日本型アートプロジェクトの現在地
対面授業:7/12(日)13:00〜18:00
オンデマンド授業(*):7/17(木)以降順次公開
①これまでの振り返り&フィードバック会*
②日本型アートプロジェクトの現在地-ソーシャリーエンゲージドアートの文脈から(ゲスト講師:Justin Jesty⦅ワシントン大学アジア言語文学学科准教授⦆)*
③ディスカッション(対面参加の受講生のみ)

受講生のみなさんへ

キーワード:#アートのパラダイムシフト #ワークショップ #アートプロジェクト

担当教員(キュレーション教育研究センター 副センター長・熊倉純子)より
昨年開講の芸術環境創造論に対して、今年開講の芸術環境創造論1はアートのパラダイムシフトがテーマです。モノからコトへ変容するアートをどう捉えたらいいのでしょうか。日比野学長をはじめ、東京藝大の教職員や招聘アーティスト、海外からのスペシャルゲストを交えた豪華セッションでみなさまをお迎えします。

先輩修了生の声

授業内容は2025年度からリニューアルいたします

  • 新しい概念や価値観に主体的に飛び込み、それらを面白がり、従属関係にならずに対等の関係で、お互いを高め合うことは何においても重要ですが、アートがそれを加速させるツールだと学びました。(2024年度受講生、30代・会社員)
  • 学生の方や業種の異なる受講生の方の意見で、自分が持っていた固定観念を見直すことができた。(2024年度受講生、40代・学芸員・キュレーター・アートマネージャー・アートプロデューサー)
  • 大人の学び直しや、社会課題の解決を図る人材育成の領域に応用できるというか、どんどん応用していきたいと考えています。(2024年度受講生、50代・会社員)
  • 制度とオルタナティブ双方の意義や相互の関係の捉え方、システム化しない実践の紡ぎ方、といった点で気づけたこと、考えるきっかけを得られたことなどを仕事に役立てていけると思います。この間の学びや考察を行った自分は、受講しなかったかもしれない自分と比べて明確に違うと思います。(2024年度受講生、50代・会社員)
  • 講義内容もさることながら、講義後の毎回の熊倉先生のコメントが良かった。「普段の自分のテリトリーから今日は何歩、出る事ができたか、考えて見て欲しい」の言葉は、ずっと意識しています。(2024年度受講生、60代・パート/アルバイト)

担当教員(登壇順)

日比野克彦(本学学長)

1958年岐阜県生まれ。 東京藝術大学に在学していた 80年代前半より作家活動を開始し、社会メディアとアート活動を融合する表現領域の拡大に大きな注目が集まる。その後はシドニー・ビエンナーレ、ヴェネチア・ビエンナーレにも参加するなど、国内外で個展・グループ展、領域を横断する多彩な活動を展開。また地域の場の特性を生かしたワークショップ 、アートプロジェクトを継続的に発信。現在、岐阜県美術館、熊本市現代美術館にて館長、母校である東京藝術大学にて1995年から教育研究活動、2022年から学長を務め、芸術未来研究場を立ち上げ、現代に於けるアートの更なる可能性を追求し、企業、自治体との連携なども積極的に行い、「アートは生きる力」を研究、実践し続けている。

熊倉 純子 (大学院国際芸術創造研究科 教授)

パリ第十大学卒、慶應義塾大学大学院修了(美学・美術史)。(社)企業メセナ協議会を経て、東京藝術大学教授。アートマネジメントの専門人材を育成し、「取手アートプロジェクト」(茨城県)、「アートアクセスあだち―音まち千住の縁」(東京都)など、地域型アートプロジェクトに学生たちと携わりながら、アートと市民社会の関係を模索し、文化政策を提案する。東京都芸術文化評議会文化都市政策部会委員、文化庁文化審議会文化政策部会委員などを歴任。監修書に『アートプロジェクト─芸術と共創する社会』『アートプロジェクトのピアレビュー—対話と支え合いの評価手法』『アートプロジェクトがつむぐ縁のはなし—絵物語・声・評価でひもとく 大巻伸嗣「Memorial Rebirth 千住」の11年』、共編書に『社会とアートのえんむすび1996-2000──つなぎ手たちの実践』、共著に『「地元」の文化力―地域の未来のつくりかた』など。

松下計(美術学部デザイン科教授)

1961年生まれ、神奈川県出身。1985年東京芸術大学美術学部デザイン科卒 1987年同大学院修了。1997年にJAGDA新人賞、東京ADC賞、文部科学大臣賞、グッドデザイン賞受賞。2010年よりグラフィックデザイナー、アートディレクターとしてグッドデザイン賞のディレクション、21_21 DESIGN SIGHTの企画展カタログ、竹尾ペーパーショウのディレクションなどを手掛ける。現東京藝術大学 デザイン科教授。

黒川廣子(大学美術館館長・教授)

東京藝術大学大学院美術研究科修士課程芸術学美術教育専攻 修了。東京国立博物館資料部主任研究官を経て1999年より東京藝術大学大学美術館勤務、2016年に教授、21年より館長を務める。手がけた企画展に『工芸の世紀』(東京藝術大学大学美術館・03年)、『皇室の彩』(同・17年)、『日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱」』(同・22年)などがある。館長就任に伴い、美術をより親しみやすくするための方法に目を向け、『日本美術をひも解く』展より東京都美術館と東京藝術大学が連携する「とびらプロジェクト」と作品の鑑賞プログラムを大学美術館で実施、今後の展開に取り組む。

西尾咲子(芸術未来研究場 ケア&コミュニケーション領域/共創拠点推進機構 特任研究員)

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科アフリカ地域研究専攻にてナイロビのアートプロジェクトに関する実践的研究を行った後、京都芸術センター、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、奈良県立大学「実践型アートマネジメント人材育成プログラムCHISOU」などで勤務。共同代表を務める合同会社CHISOUでは、出身地の奈良をはじめとする自治体や大学、民間団体と連携しながら、アーティストと市民が学び合う、領域横断的なアートプロジェクトの企画制作を手がける。

佐藤悠(アーティスト)

一見何も無いところから、表現が紡ぎ出される現場を作っている。地域などに滞在し、協働でプロジェクトを行う他、主な作品に、一枚の画面に絵を描きながら、参加者と即興の物語を作るパフォーマンス「いちまいばなし」などがある。近年は美術鑑賞プログラムの開発にも力を入れており、美術館、教育機関、企業等で実践を行っている。yusatoweb.com

韓河羅(キュレーション教育研究センター特任助教)

1993年生まれ、奈良育ち。韓国にルーツを持ち、幼い頃より韓国と日本を行き来して過ごす。延世大学人文学部史学科卒業。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門は、アートマネジメント、文化政策。参与観察を通じて、文化芸術をとりまく現場の質的調査を行っている。2024年より、東京藝術大学キュレーション教育研究センター特任助教。

Justin Jesty(ワシントン大学アジア言語文学学科准教授)

戦後日本文化史を研究している。2018年に著書『Art and Engagement in Early Postwar Japan(戦後初期の日本における芸術と社会関与)』がコーネル大学出版会から出版され、2019年にAssociation for the Study of Arts of the Present学会のASAP賞を受賞した。現在、現代日本の社会関与の芸術を研究しており、2017年に『FIELD: A Journal of Socially Engaged Art Criticism』の誌上で春・秋号をかけて「Japan’s Social Turn (日本の社会転回)」という特集を編集した。他に社会的記録映画や1940年代のリアリズム論争などについて論文を書いている。各論文はウェブサイトでアクセスできます:http://washington.academia.edu/JustinJesty