展覧会名
東京藝大×〈みずほ〉「アートとジェンダー」共同研究プロジェクト
「夜明けの荒野を走ってー池口史子×碓井ゆい展」(Chasing the Horizon at Daybreak)
会期
2025年7月4日(金)〜8月3日(日)11:00-17:00 (最終入場16:30)
開館日:金、土、日
ただし7月21日(月・祝)は開館
入場無料
開催場所
堺屋太一記念 東京藝術大学 美術愛住館(東京都新宿区愛住町2-5)
参加作家
池口史子、碓井ゆい
主催
東京藝術大学キュレーション教育研究センター
企画
難波祐子(東京藝術大学キュレーション教育研究センター特任准教授)
展覧会概要
東京藝術大学キュレーション教育研究センターは、洋画家・池口史子と現代美術作家・碓井ゆいの二人の日本人女性アーティストによる展覧会を、池口がかつて生活し、創作活動を行った美術愛住館(東京・四ツ谷)で開催いたします。
池口は、1960年代に東京藝術大学で油画を学び、長く作家・経済評論家の堺屋太一の妻として知られるなかで、1988年にアメリカ北西部とカナダの国境沿いの小麦の穀倉地帯を堺屋と旅しました。そこで目にした風景との出会いを機に作風を一新し、90年代に独自の表現を確立します。また2012年には女性洋画家として初めて日本藝術院会員となりました。
一方で碓井は、社会や歴史の見過ごされがちな事象を、丹念なリサーチを通して掘り起こし、刺繍やパッチワーク、アップリケなど手芸を使った作品を中心に発表してきました。
本展に際して、碓井は、池口と同時代を生き、90年代に池口の個展に触れてキルトによる創作を本格化させた、とある女性の物語を展開します。本展では、その女性が訪れた架空の池口の個展会場として、美術愛住館1階ギャラリーを中心に池口の画業の転機となった90年代の作品を展示します。また3・4階の元居住スペースとアトリエでは、物語のなかで生み出されたキルト作品が碓井によるテキストと共に展示されます。
池口の絵画と碓井の手芸を媒介とする現代美術。時代と表現手法を異にする二人の作品は、日本社会のなかで創作活動に携わる者のみならず、さまざまな場所で自分の道を切り拓いてきた女性たちの姿と重なることでしょう。二人の作家が見つめ、走り抜けてきた「夜明けの荒野」とその先に見える光を、ぜひご覧ください。
*本展は、東京藝術大学キュレーション教育研究センターと〈みずほ〉が2023年度から実施している共同研究プロジェクト「アートとジェンダー研究会」の事業の一環として実施されます。
◎本展覧会の見どころ◎
- フィクションと現実を織り交ぜた物語的手法で手芸による現代美術を展開する碓井ゆいと女性洋画家として初の日本藝術院会員となった池口史子による異色のコラボレーション
- 池口史子の転機となった90年代作品を中心とした個展会場の再現に、碓井ゆいの物語的な仕掛けが巧みに織り込まれた展示空間
- 美術愛住館で初めて実現する異世代・異ジャンル作家による全館展示ー普段は非公開の3・4階元居住空間・アトリエも含む貴重な機会
本展覧会チラシ
参加作家
池口史子 (Chikako IKEGUCHI)

洋画家。1943年旧満州大連生まれ。62年に東京藝術大学油画科入学、山口薫教室に学ぶ。68年同大学院修了。外国風景・人物・花をモチーフに独自の世界を追求。93年、《もうすぐ晴れる・Ⅰ》で倫雅美術奨励賞受賞。2004年《ワイン色のセーター》で損保ジャパン東郷青児美術館大賞受賞。12年、女性洋画家として初めて恩賜賞・日本藝術院賞を受賞し日本藝術院会員となる。24年に旭日中授章受章。
日本画壇を代表する洋画家の一人であるとともに、2018年に夫で作家・経済評論家の堺屋太一(本名=池口小太郎)と旧邸宅を改修し「美術愛住館」を設立。日本人洋画家の作品を中心に展覧会を行い、2019年に同館を東京藝術大学に寄贈する。日本藝術院会員、立軌会同人、堺屋太一記念 東京藝術大学 美術愛住館名誉館長。
碓井ゆい (Yui USUI)

撮影:中尾あずさ
アーティスト。1980年東京都出身、埼玉県在住。 身の回りの素材や手芸の技法を用い、社会制度や歴史についての批評や考察を平面・立体作品で表現する。 近年の主な展覧会に「SENSE ISLAND/LAND 感覚の島と感覚の地 2024」(横須賀市内、2024年)、「ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2023年)などがある。

池口史子|WHEAT POOL|1991

碓井ゆい|家は歌っている|2022 撮影:加藤甫

池口史子|夕陽|1991

碓井ゆい|だれかの記念品|2024
撮影:TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH
東京藝大 ×〈みずほ〉「アートとジェンダー」共同研究プロジェクト
「アートとジェンダー研究会」とは?
東京藝術大学(以下、東京藝大)と〈みずほ〉は、2022年より「経済だけでなく、アートの力で文化や社会・人びとの生活も豊かで彩ある未来」をともに目指して、さまざまな連携を深めてきました。その連携をさらに強固にし、かつ持続したものにするため、2023年に包括連携協定を締結しました。
キュレーション教育研究センター(以下、CCS)では、東京藝大×〈みずほ〉の連携事業の一環として、「アートとジェンダー」をテーマにしたさまざまなプロジェクトを展開しています。2023年度に立ち上げた「アートとジェンダー研究会」では、「アートの現場における女性の社会進出」をテーマに全5回のレクチャーを実施すると同時に、藝大生・教職員有志と〈みずほ〉の社員によるリサーチチームを結成して、アートとジェンダーを取り巻くさまざまな課題について議論を深めてきました。2024年度は研究会のリサーチャーによる4つの企画について、研究助成を行いました。またシンポジウム「アートとジェンダー:ケアの視点から」を実施しました。
「アートとジェンダー研究会」の3年目となる2025年度は、これまでの研究活動を総括することを目的に、2023年度の研究会のレクチャーで講師としてお招きした現代美術作家の碓井ゆいに、日本藝術院で女性として初めて会員となった東京藝大出身の画家、池口史子の作品に着想を得た新作の制作を依頼し、女性であること、つくることをテーマに展覧会を開催します。また展覧会では、これまでの「アートとジェンダー」共同研究プロジェクトを振り返るドキュメント展示や、〈みずほ〉の社員によるガイドツアーも予定しています。
関連イベント
◎アーティストトーク《碓井ゆい(アーティスト)、聞き手:難波祐子(キュレーター)》
7月13日(日)14:00-15:00
◎ガイドツアー(所要時間約30分、定員15名)
7月26日(土)14:00〜、15:00〜
7月27日(日)11:00〜、14:00〜、15:00〜
事前予約フォーム:https://forms.gle/oxHXJa2FDU2qSx5W9
アクセス

美術愛住館
〒160-0005 東京都新宿区愛住町2-5
TEL: 03-6709-8895
FAX: 03-6709-8896
東京メトロ丸の内線「四谷三丁目」駅2番出口より徒歩3分
都営新宿線「曙橋」駅より徒歩8分
美術愛住館ウェブサイト
www.aizumikan.com
東京藝術大学キュレーション教育研究センターウェブサイト
https://ccs.geidai.ac.jp
みずほフィナンシャルグループ ウェブサイト
https://www.mizuho-fg.co.jp/company/info/brand/culture/art/index.html